羽衣その1

初めまして。

能楽・中世室町文学などを研究しております原田香織と申します。

トップページの写真は、今週末の山中湖からみた夏の夕暮れ時の富士山です。富士山は霊峰富士の威容を誇りつつ、白い雲に包まれて不思議なゆらめきの空間をつくっておりました。これぞお能の世界。カメラマンたちが、シャッターチャンスを狙っているのに、とても静謐な世界、湖の波打ち際の音も、のどかな、ゆらぎの世界でした。

さて、富士山にかかわる能は、御存知のとおり能『羽衣』と能『富士山』、狂言『富士松』があります。

いや疑ひは人間にあり。天に偽りなきものを ―『羽衣』―

この言葉は、天の羽衣をめぐって、漁夫の白龍と清らかな天女が押し問答をする圧巻の場面です。

駿河國に天女が天降る物語は、『風土記』、『和歌童蒙抄』や『後拾遺和歌集』神祇1172番などに見えます。むかし美しい天女が天の羽衣をまとって、舞い遊び、それをうつしし取った東遊びが、駿河舞となってという魅惑の世界です。ではこの詳しいお話は次の機会にいたします。

ではまた。

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